ほのかに甘くHOLIDAY+α
久し振りの休暇をどう過ごそうかと考えながら、ハロを組み立てている所へ通信が入った。
「・・・どうした?」
それは医局に勤務している幼馴染のからだった。
「ねぇアスラン、ヴェサリウス搭乗って明日の0800だよね?」
「あぁ。」
「それじゃぁ・・・その・・・アスラン今日は・・・暇?」
「うん、特に用事は無いけど・・・何?」
画面向こうのはやけにソワソワ落ち着かない様子で、時折何か言いたげな視線をこっちに向けている。
また何か隠し事があるんだろうって事、分かってるんだけどワザと気付かないフリをしてが言い出すのを待つ。
やがて言を決したように力の入った声が聞こえた。
「アスラン一緒にお出掛けして!!」
・・・言うのを躊躇っていたのはそんな事だったのか。
俺は思わず緩んでしまいそうな口元を手で覆いながら、真っ赤な顔をして画面向こうで俯いているに声を掛けた。
「いいよ。これから?」
「えっと・・・ラクスにちょっと家に寄ってって言われてるからその後何処かで待ち合わせでもいい?」
「んー・・・それなら俺が車でラクスの家まで迎えに行くよ。俺もラクスにがお世話になってるお礼も言いたいし。」
男の俺が気づかない所をいつもラクスが面倒見てくれている。
いくら形だけの婚約者だとは言え、お世話になっているのは事実。
こう言う所はきちんとしておきたい。
「じゃぁラクスの家に・・・1時間後でいいかな?」
「あぁ構わないよ。」
「それじゃぁまた後でね、アスラン!」
「キチンとラクスに挨拶するんだぞ?」
「はーい」
そう言ってからの通信が切れた。
さて、あと一時間・・・取り敢えず軍の車を借りる手配を整えて、それから提出用の書類を幾つか仕上げてしまおうか。
俺は通信の切れたモニタのスイッチを再度入れると、車を借りる手続きをすべくそこへ連絡を入れた。
「認識番号285002クルーゼ隊所属、アスラン・ザラ。ラクス嬢との面会及び・のお迎えにあがりました。」
「・・・確認しました、どうぞ。」
大きな門が開いて車をゆっくりその中へ入れる。
以前ラクスに調子が悪いと言って修理を頼まれたハロ(ネイビー)を片手にドアの前に立つと初老の男性が扉を開けてくれたので軽く頭を下げてから中に入ると、
ちょうど階段の上からラクスが下りてきた所だった。
「まぁアスラン!お早いんですのね?」
「すみません、道が予想以上に空いていたので約束のお時間よりも早くなってしまいました。」
「かまいませんわ。様とのご用事もちょうど終わった所ですから・・・」
「そうですか・・・あ、こちら修理を頼まれていたハロです。」
俺は手にしていたハロ(ネイビー)をラクスの目の前に差し出してスイッチを入れた。
「ハロ!」
「まぁネイビーちゃん!元気になりましたのね?」
「えぇ、内部の回路が一部損傷していたので修理しました。他にも磨耗していた部品が幾つかありましてので、そちらも新しい物に交換しておきました。」
「まぁ、本当にどうもありがとうございました。アスランはハロのお医者様ですわね。」
俺は別に医者ではなく、ただ修理をしているだけなんだけど・・・ってニコニコ笑っているこの人に言っても無駄なんだろうな。
「すぐに様を呼んで参りますからアスランはお車で待っていて下さいな。」
「え?」
「レディの準備には時間がかかるものですわよ、アスラン。すぐお呼びしますから・・・」
そう言うとラクスは何やら楽しげに笑いながら、ハロ(ネイビー)を胸に抱えて二階へと駆け上がって行った。
何が何だか良く分からないが、とりあえず彼女に言われた通り車でが来るのを待った。
5分程して家のドアが開いたのでそちらへ視線を向けて思わず固まった。
「さ、様足元に気をつけて下さいね。」
「は・・・はい。」
俺の目の前には・・・いつも軍で見ているようなの姿とは全く違う、とても可愛らしい少女がいた。
いつもは無造作に束ねられている肩までの短い髪も、真っ直ぐに伸ばされサイドは小さな花がついたピンで留められている。
寝癖がついたようなクセのある前髪も今日は真っ直ぐに伸ばされている。
普段俺が見るの服装は軍の中と言う事もあり、少年らしいカットソーやシャツにズボンと言った格好が主だが、目の前のは可愛いワンピース姿だ。
とラクスの体格はの方が身長が少し低いくらいであまり差は無い。
恐らくこのワンピースもラクスの物だろうが、白いカットソーの上に淡いピンクのワンピースは今のにとても良く似合っていた。
コンコンとラクスが車の窓ガラスを叩いた音でようやく我に返ると、俺は慌てて運転席から降りて助手席側の扉を開けた。
「あ、ありがとう、アスラン。」
顔を真っ赤にしながらぺこりと頭を下げたが、広がりそうになるスカートを手で少し束ねて助手席へと体を滑り込ませた。
キチンと座ったのを確認してゆっくり扉を閉めると、先程から楽しそうにクスクス笑っているラクスの方へ体を反転させた。
「あっあのっっ・・・」
「折角のお出かけですもの。これ位宜しいでしょう?」
「ですが、これでは何処かで軍の人間と出会った場合・・・誤魔化しが・・・」
「あら?アスランは様のこのようなお姿、お嫌いですか?」
嫌・・・な訳は無い。
むしろ普段、少年のような格好ばかりしているのこういった可愛らしい姿を見て見たいと思っていた事も無いとは言えない。
内心を読み取ったのか、ラクスは小声である場所の名前を告げるとそのまま俺の肩を押して車の運転席へ向かわせた。
「様もお買い物好きでしょう?つい最近出来たばかりの場所ですからきっと楽しめると思いますわ。
本当なら私もご一緒したかったんですが、残念ながらこれから取材ですの。ですからアスランと様で行ってらして下さいな。」
「・・・色々すみません。」
「いいえ、どうぞ楽しい休暇をお過ごしくださいませ。アスラン、そして様も。」
そうして俺とは久し振りの休暇を一緒に過ごす事となった。
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また短いオマケ話(笑)
アスランがラクスの家にヒロインを迎えに来るシーンを・・・書きたかっただけですv
ついでに何処かでネイビーちゃん(ハロ)の姿が見えなかった事が気になったので、急遽アスランにはオモチャのお医者さんならぬハロのお医者さんになって頂きましたv
この辺は多分スーツCD3の影響でしょう(苦笑)
普段ヒロインは艦内男装しているので、アスランもヒロインがちゃんと女の子の格好しているのを見るのは久し振りなんですよ。
だからちょっと見惚れてますv
本編よりオマケの方が実は先と言うのが笑えるかも・・・元々はここから本編に続けようと思ったんですが長くなっちゃうので切っちゃったんですよ。
でも折角書いたからもったいないなぁと思ってUPしちゃいました!!